福岡の有名水たき料亭「博多華味鳥」は、2021年3月から飲食店の店舗運営を支援するコミュニケーションツール「botto」を取り入れています。bottoは、従業員が日々の振り返りを行ったり気がついたことを書き込み、全員が主役となりお店づくりに参加するコミュニケーションツールです。筑紫口店の西田良支配人、坂田里江子女将と天神店の前田実奈子女将、内田綾華若女将の4人にbottoを使うメリットなどを伺いました。問題共有がスタッフの成長へ bottoを使うと聞いて率直にどう思われましたか?前田:「『え、LINEでいいんじゃない?わざわざいる?』と最初思いました(笑)うちは若女将がアルバイト一人一人に対してしっかりコミュニケーションをとってくれていたので。ただ、若女将が一人で背負って苦労している場面もありました。『全員が共有できる』というbottoはそこが改善できて良いかもな、と思いました」内田:「そうですねー、もともと個人的にやりとりしていたので必要ないかも、と最初は思っていました。ただ、わたしが個人的にやり取りをしているだけで周りの人はわからない。情報共有ができてお店全体が良くなるな、とbottoを使ってみて思いました。負担が減りましたね」西田:「うちは別館ができるというタイミングでbottoを紹介してもらいました。社員が増え、アルバイトの雇用も増えていくなかで、コミュニケーションを全員と取るのが難しくなるだろうと悩んでいたところでした。bottoを使ったら情報共有しやすく、チームづくりがしやすいだろうなと思って始めました」坂田:「直前に働いていた店舗(銀座店)では、アルバイトからの細かな意見がものすごく多くて。bottoの機能で最初に良いなと思ったのが、スタッフの意見を吸い上げられるところです。気がついたことを書き込んでくれるので、こちらも対応できる。それまでは直接言われたことをメモに書いて実行していましたが、抜け漏れも発生していました。」「共有できる」って大事なんですね。実際に使ってみて、メリットに感じる部分はありますか?西田:「スタッフが勤務中に『これbottoに書けるな』とか、”仕事”のことを考える時間が増えたことはメリットかな。初出勤のアルバイトの子は『今日疲れました』とか短めだったけど、出勤数が増えるにつれて『お客さんに笑顔をほめられました』とか具体的な内容に変わっていくんです」坂田:「本当に変わっていきますよね。『きつかった、迷惑かけた』としか最初書けなかった子がどんどん内容が具体的に書けるようになっていって、『次はここ注意しよう』とか自分で課題を見つけれるようになったりしてますね。SNS感覚で見ている子も多くて、今の時代に合っているなと思います」「たとえば、営業の回し方とか。今までは目の前の一人だけにアドバイスしていたことが、全員で共有できるのはすごくいい。誰しもぶち当たる壁だから。新人さんには特にメリットが多いですよね。記録として残せるので、これまでの店舗での出来事も伝わると思います」前田:「若女将の提案でベテランパートさんに、コメントを返信する側に回ってもらったんです。パートさん自身も後輩や新人にどう教えていいかわからない、っていう悩みがあったそうで。教えられる側も悩むけど、教える側も悩んでいる。お店をつくる側にみんなをどんどん巻き込んでいきたいですね」内田:「そのベテランパートさんのコメントは、必ずみんなをほめているんですよね。スタッフのことをよく見ていないとほめることもできないので、さすがだなと思いますね」 すごい。店舗内の全員で使いこなされていますね!西田:「今後、うちの店舗も支配人候補や女将候補のスタッフにコメントを書いてもらおうかな。コメントを返すことによって、全スタッフのことを考えることになる。スタッフ一人一人を把握できることがスタートになると思うので」フィードバックで伝わる熱量と想いコメントの返信で心がけていることはありますか?坂田:「気をつけているのは、前向きな言葉を使うようにしていることかな。働くことはきついだけでなく、成長することで楽しくなるんだよ、ということを伝えられるように書いています」内田:「坂田さんの返信の内容が濃くなってから、筑紫口店の従業員の雰囲気が変わったな、と思います」西田:「伝えたいことが指導や指摘だったら、一旦褒めてから次回はこうしようね、という書き方をしているかな」 前田:「結構文字だときつく感じるんだよね。絵文字いっぱい使っちゃう」 全員:「分かる分かる!」 内田:「バイトの子で落ち込んだbottoの内容があったら、次に出勤したときに、あれどうしたの?って聞けるのがメリット。自分が店舗にいないときのことは、誰かが教えてくれないと気がつきにくいところだったので」坂田:「わたしは17時終業が多くて、夜の部の子たちには女将らしいことをしてあげられてないな、と思っていました。更衣室で一緒になったりはするんですよね。そのときに、『bottoに書いてあったけど、あれどうしたの?』とかコミュニケーションがとれるきっかけになりました」「唯一、今はbottoが自分と出勤が被らない子達とのコミュニケーションツールになっています。今までは『お疲れさまです』とかあいさつだけになってたから。嬉しかったのが、まだ一緒にシフトに入ったことない子から、『また坂田さんがbottoの返信してくれるのを楽しみにしています』って、話しかけてくれたことかな」それは幸せなことですね。みなさんが楽しんでお仕事されているのが伝わってきます! 坂田:「どうせ、きついことがあるんだったら楽しくするためにはどうしたらいいか、ということを常に考えていますね。それを返信にもいかしたい!」内田:「スタッフとのコミュニケーションがお客様満足度に繋がりますよね」 西田:「たしかに。みんな共通して『人が好きだから飲食店で働いているんだ』と思います。スタッフやお客さん、日々違う人と出会うのが楽しいんだよな」コミュニケーションが顧客満足度につながるこれまでで特に印象深い書き込みは?前田:「いっぱいあるね。今は意見をくれたことに対して、片っ端から改善しているところ。物の置き場所とか物が不足してるとか備品関係が多いけど、お手洗いが分かりづらい、暖簾の色を変えた方が良いんじゃないか、とか色んな意見をくれます。予算が必要なことなどは『ちょっと待ってね』となるけど、できるだけチャレンジして変えています」「特に備品関係は、わたしたちが気が付かないところに気づいてくれる。bottoを書くから、みんなが探してくれているというのもあるかな」内田:「洗い終わった食器が汚れていることが多いので気をつけてください、とか書いてあることもあって。細かいことでも、全て顧客満足につながる部分ですよね」それは従業員の方の働きやすさもアップしますね。前田:「bottoで握り潰せなくなりましたね(笑)今まで改善点は口で伝えられていた部分で、重要度低いと判断したものは後回しにできたんですよね。スタッフも自分が提案したことが改善されると喜んでいます」内田:「自分の意見が通ったとか、今までモヤモヤしていたことも書いていいんだ、と思い始めているところかな。接客やスタッフ同士の悩みも話してくれやすくなったと感じています」「他の店舗の書き込みを全部見れるのですが、コミュニケーションが取れていないお店とかすぐ分かります。小さなことですが、それが後々大きくなって問題になるので…。逆にコミュニケーションが取れてるお店のやり取りとか、上手な伝え方とか参考になることがいっぱいあるので、若い社員はもっと見てもらいたいと思ってます」これからさらにbottoをどう使いこなして、どのような店舗を目指しますか?内田:「意思疎通ナンバーワンのお店!」坂田:「会社全体でコミュニケーション能力が高まればいいかなと思う。華味鳥全体が良くなるんじゃないかなと思います」西田:「没頭(botto:ボットー)する職場をつくりたいです」 全員:おーーーー(拍手) 最高の締めですね。本日はありがとうございました!!