福岡県内に大衆居酒屋やもつ鍋店など5店舗を経営する株式会社office nine(福岡市中央区大名)の工藤祐代表取締役。飲食店の店舗運営を支援するコミュニケーションツール「botto」の活用方法とは。―導入のきっかけを教えてください。飲食店の「肝」とも言える人材教育やチームづくりに常に課題を感じていました。知り合いの繁盛店が何社か取り入れていて「良いシステムですよ」と言っていたので紹介していただきました。bottoを使う前は、店長とアルバイトがLINEでやり取りをしていたのですがタイムラインのように話が流れてしまってうまくいきませんでした。LINEは当事者同士の会話になりますが、bottoはわたしを含め全員が見ることができます。週3回は必ず各店舗の状況を把握するためにもチェックしています。―全店導入後、変化は感じられますか?客観的にbottoの中の会話を見てですが、日々の出来事が可視化され、以前よりもコミュニケーションの質が高まったと思います。現場では毎日何かしらのトラブルがあります。改めて飲食の運営は大変だな、と実感しつつ、その場にいなくても店舗の状況がよく分かるようになったので、アルバイト含め評価をしやすくなりましたね。―どのようにbottoを活用されていますか?日々の業務の振り返りや気がついた点などを書きます。その書き込みに対して、店長や社員がコメントを返信します。コメントは人によってぜんぜん違って、それぞれの個性や良さがあります。色々なやり方があっていいと思いますが、やっつけで書いているときは分かるので、改善を促しますね。やっつけと、気持ちのこもった返信、コメントを見ていたら分かるんですよ。―どのような返信の仕方が理想ですか?アクシデントや悪いことに対して、マイナス思考なコメントに対しても、何かしらの答えを導いてあげないといけません。社員が答えを持っていなければ、寄り添って一緒に考える姿勢を見せてほしいですね。bottoに限らずですが、新しい取り組みを始めると「めんどくささ」が必ず現れます。それを乗り越えて定着させる、これが一番難しいと思います。bottoに関しては、毎日他の人のコメントも見られるので、社員が率先して背中を見せることが大事だと思います。人材育成は、店長も役職者も社員も、人を教育するのはめちゃくちゃ難しく終わりもありません。僕は店長を教育し、会社の理念を伝える。店長は社員、アルバイトを教育する。そもそも僕がうまく店長教育ができなければ、店長も教育はできません。近いところから大事に接していくことを大切にしています。bottoを取り入れたからと言って全てが改善されたわけではなく、今も試行錯誤で改善中です。―人材育成の面でどう生かされていますか?店長が店舗でどういう取り組みをしているかなど、店長の特性がよく分かるようになりました。コメント返信の言葉遣いなどから、今まではなかなか見えなかったところ、見えづらかったところが表面化したのは良かったです。―新店舗「はつかなる」では、オープンと同時にbottoを導入されたと伺いました。最初のチームビルディングから入れられているので、管理職からすると、どういう立ち上がりをしているのかがよく見えます。他店舗の社員には「立ち上げが体験できるから、最初の1ヶ月間は、はつかなるのbottoを見るように」と伝えています。他の社員が見ることによって、立ち上げはこんなトラブルがあるんだ、とか、こんなチームビルディングでつまづくのか、ということが少しでも伝わればいいですね。(詳細は後編へ)―今後の使い方について企業の理念浸透と、店づくりです。「この店をいい店にしたい」「繁盛店にしたい」と思ってくれる人の数が多ければ多いほど、その店はいい店になると思います。本気でこの店を良くしたいと思う人が増えて、bottoを使うことによって店長の本気度が共有できたらいいですね。